電動ドリルドライバーを選ぶときに知っておくべき用語や基礎知識、選ぶときの判断基準になりそうな事柄をまとめました。
なんでもそうですけど、ある程度知っておくことで選ぶときの余計な選択肢を排除でき、粗悪品を買わずに済む。
この記事の目的は、それです。
知っておきたい電動ドライバーの種類
「小型電動ドライバー」「ドリルドライバー」「インパクトドライバー」。基本的に、この3つです。
それぞれどんな作業に適しているかといったことや特徴、おすすめの機種は、こちらの記事をご覧ください。
知っておきたいメーカー(ブランド)5つ
・RYOBI(リョービ|日本)
・makita(マキタ|日本)
・HITACHI(日立工機|日本)
・BLACK+DECKER(ブラック・アンド・デッカー|アメリカ)
・BOSCH(ボッシュ|ドイツ)
DIY向けに良い製品を多く出していて、ホームセンターや通販で簡単に入手できるのはこの5社。
他にも多数メーカーはありますが、あくまで「DIY向けとして」の観点で、グレード・価格帯や流通に難ありのメーカーは除外してます。
例えばPanasonic(日本)はハイグレード過ぎて価格帯的にもDIY向けじゃないとか、質はいいけどまだまだ一般的に入手しづらいスタンレー(アメリカ)とかね。

なぜこれらのメーカーが良いのか。
電動工具ってのは単純なようで、よくよく考えればすごい技術の塊です。
木や鉄など、加工する材料を基準にしてモーターの力を制御する技術、重量配分や強度を考えた使いやすい設計、その上でぶつけたり落としたりホコリの激しい環境下で使ったり、たまには多少無理な力をかけたりするわけで。
精密さに加えてタフさも兼ね備えていないとすぐに壊れてしまいます。
つまり作るのにかなりのノウハウが必要で、当然専門のメーカーが作ったものが圧倒的にレベルが高い。
また、モーターブラシ・バッテリーなどの交換部品の流通や、故障時のサポートも大切。
よって上に挙げたメーカーの中から選ぶのがベターなのです。
知っておきたい名称・機構
ビット
ドリル・ドライバーに限らず、リューター・トリマーなど、締付工具・切削工具・研磨工具の先端の回転部分の総称。交換することでいろいろな用途に対応できます。
ビットいろいろ。
ドリルドライバーに用いるものは丸軸か六角軸かがあります。
チャック、キー、キーレスチャック
チャックとは、くるくる回してビットをくわえさせる部分。
「キー」というものを使うのが古くからあるスタイルで、今でも大型の工具はこれ。
ドリルドライバーは「キー」を使わない「キーレスチャック」が主流。
手で回すだけで充分にビットを締め付けできるように作られていて、スピーディーに交換ができます。
インパクトドライバーはスリーブ式というものが一般的。これは六角軸のビットしか使用できません。
それぞれの特徴・メリットデメリットはこんな感じ。
まぁ、よっぽどへんな製品でなければ、ドリルドライバーならキーレスチャック、インパクトドライバーならスリーブと、一番適したやつになっています。

クラッチ
締め付け時に過剰な力をかけてネジ穴や木を痛めることがないよう、一定の締め付け力以上になると空転させる機能のことです。
インパクトドライバーにはついていません。ドリルドライバーにはついているものがほとんど。
バッテリーの種類と特徴
電動ドライバーは一箇所で固定して使うものではないですね。持って歩いていろんな角度から使うので、取り回しの良さはとても大事。
したがって、コード付きかバッテリー式かで言うと、やはりバッテリーが便利なわけです。
バッテリー式も乾電池、ニカドバッテリー、リチウムイオンバッテリーがありますが、電動工具なら絶対にリチウムイオンバッテリーの製品を選ぶべき。
・乾電池はここがダメ
→ 小型の電動ドライバーに採用されていることがありますが、長く持たないし、パワーもない、ランニングコストがかさむ。
乾電池の入手のしやすさは◎ですが、家庭常備で使うならその必要あるかっていう。
・ニカドバッテリーはここがダメ
→ 継ぎ足し充電NGかつ、自己放電が大きい(長く使ってないとバッテリーが空になる)。理想的な運用は日常的に残量0になるまでしっかり使い、使う前にフル充電すること。
よって、バッテリーを使い切れる作業量なら良いのですが、そこまででもないDIYだと、保管前にしっかり放電しなければいけないのが手間。
劣化も早く、使用頻度にもよりますが2年くらいで寿命が来て充電不可能になります。しかも交換品バッテリーは電動ドライバー本体が買えるくらいに高いという謎な価格付けだったり。
なぜ、リチウムイオンバッテリーが良いのか
リチウムイオンは継ぎ足し充電が可能、というか推奨。(放電しきってしまうと少しづつバッテリーの性能が落ちていく)
ある程度の残量になるまでは電圧も一定していてパワフル。
そういう特色があるので、保管時も充電器にさしっぱなしにすればとりあえずOK(ほとんどの製品には過充電防止回路がついているので)。自己放電も少ないので、長期間使わない期間があっても、すぐに使える状態に。
いろんな面でニカド電池と対極な性質があり、使用頻度がそこまで高くないDIY向け電動工具と、非常に相性がいいバッテリーなのです。

製造コスト面から、安価な製品はニカドバッテリーの場合が多いので注意してください。
共通バッテリーという揃え方
同じバッテリーをいろんな電動工具で使いまわそうという思想・設計が増えてきています。
一例ですが、左はmakita、右はBOSCH。
電動ドリルドライバー以外にもゆくゆく工具が増えそうだな、という場合は、こういったシリーズで揃えるとバッテリーの無駄がなくなってコスパが良いかもしれません。
makitaは工具に限らず、スティック掃除機もラインナップに入れているのが秀逸だなぁと思います。
コード式工具とバッテリー式、それぞれのメリットデメリット
基本的にはバッテリー式を推奨します。
ですが、コード式にも、ちゃんとメリットはあるんです。
コード式のメリット・デメリット
◯ 安価
→バッテリーがない分安く、1万円を超えることはあまりないです。
◯ 安定して使える
→バッテリーは電圧が下がってくるとパワーや回転数が落ちますが、コード式の場合それがないです。いつでもいつまでもフルパワーで使えます。
◯ 軽い
→バッテリーがない分、軽い。長時間持っていても疲れません。
▲ 電源が必要
→戸建てなら延長コードで対応できますが、マンション住まいの人が外の駐車場や道路でちょっと作業しようとか思うと、電源が取れずに困ってしまいます。
▲ コードが作業のジャマになる
→家具の組み立て中など、いちいちコードを避けたり避けさせたりが地味にめんどい。またコード式の工具を複数使って作業してると、だんだん絡まってきます。いったん片付けないと掃除もしづらい。これが一番のデメリットかもしれません。
バッテリー式のメリット・デメリット
◯ 取り回しが良い
→コードがないので当然ですね。ある程度の大きいものを作ったりすると自分のほうが動き回ることになるので、コードレスは魅力です。
◯ 電源の確保を気にせず作業できる
→庭やベランダ、なんなら駐車場とか家の前の道路でも、場所を選ばず作業できます。
▲ 価格が高い(バッテリーが高い)
→価格の半分はバッテリーが占めてる、くらいの金額感。つまりコード式だと概ね半額くらいってことです。
▲ バッテリーの分重くなる
→バッテリーの容量次第ですが、けっこう重いです。
もちろん持ったときの重量バランスを考えて設計されているので、使っているときにそこまでの違和感はないけど。
それでも長時間使用してると男性でも腕がつらい。
▲ いつかはバッテリーが劣化する
→しかも交換品のバッテリーが高いので、本体ごと買い替えるケースがほとんど。
生涯愛用できる工具にはなりえません。
ただし、前項で挙げたとおり(同じメーカーなら)複数の電動工具でバッテリーを共用する思想が広がりつつあり、汎用バッテリーというものが登場しています。
その広がりと低価格化に期待したいところ。

僕もインパクトはコード式を使ってます↓
付属のビットについて
電動ドリルドライバーを買うと、なんらかのビットがついてくると思います。
小型電動ドライバーなら、プラスドライバーのビットと、六角のビットが何種類か付属してることが多いでしょう。
一方ドリルドライバーやインパクトドライバーはプラスドライバーのビット1つか2つだけの場合が多い。
これは、ビットが消耗品扱いだからです。
ドリルドライバーやインパクトドライバーはパワーがあるので、ビットの方もだんだんすり減っていきます。最初に付属してくるものは、お試し用くらいに思っておきましょう。
こういった、六角のビットが含まれるセットがおすすめ。
付属品がいっぱいついてる品は基本、良くない
どう考えても使わないようなビットをこれでもかと付属させてる、こういう商品は、ほぼハズレです。
たくさんのアタッチメントを専用ケースにきれいに並べることで「プロっぽい」と思わせ、粗悪品の本体を掴ませる算段です。
中身はこれ、100均レベルかそれ以下の工具を並べたに過ぎません。
頻繁に使うドリル刃なんかは即劣化して使えなくなり、逆に使わないビットは生涯出番がないでしょう。
ビットやケースに余計なコストをかけている分、本体は悲惨なクオリティ。モーターかバッテリーか、はたまたどちらもが半年持たずにダメになります。

こんなところに気をつけて選んでもらえれば、いい工具に巡り会えることと思います。
実際の電動ドライバー選びは、こちらも参照してください↓