ボロボロの小引き出しを再生する。その1

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ほぼ手付かずだった庭の物置の中から、小引き出しを掘り出してきました。ボロボロです。

 

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ボロボロです。背板もない。

 

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ボロボロですが、こんなふうにやれた木製引き出しなんて今ではそうそう手に入るもんじゃない。せっかくの出会いなので使える程度にまで再生することにしました。

 
 

いうてもけっこう大変で。
まずはサビサビの取っ手を外すのですが、ネジが錆び付いて回らなかったり、途中で折れてしまったり。結局鉄鋼ドリルでもみ取るハメに。
バイクのレストアなら6mmだかのドリルでガンガンいけるんですが、今回の相手は小さな木ネジなので1.5mmのドリル。しかもうっかりすると木材の部分を傷つけてしまう。この作業だけでかなり神経削りましたよ。

 

そのあとはひたすらヤスリがけをして表面の塗装を地道に削り落とし、大きく欠けていた部分は新しい板で作り直し、腐りかけの底板を張り替え、背板も新たに入れて全体を補強。
とにかく既存の部材を割らないように、というところに気を使う難儀な作業でした。

 

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まぁ、その甲斐はあってこれなら使えるなっていうくらいにはきれいに。

多少ガタつくものの、微調整でしっかりと用を為す引き出しに戻りました。数十年の時を経て、しかも保存状態もよくなかったのに大したもんです。

 

とはいえ見えないところまできっちり作ってあるかというとそれなりの省略はあったりするのが面白いところ。きちんと使えつつも安価に人々の手に届くように、当時の材料費や職人の賃金から出した最適解なんだろうなぁ。
そういうところも含め、とても真面目なものづくりだと感じました。

 

素材は杉。よっぽど乾燥させてから製材したのでしょう。反りも歪みもない。節も外してあって、それだけでも丁寧だなぁと思いました。
まぁ、当時は全部そういうものだったのでしょうが、集成材や突板の製品しかほぼ見かけない今の時代にこういうものを見るとやっぱりなんかホッとします。

 

ちなみにこの引き出し、こんなものが入っていましたよ。